9月23日(祝)から24日(土)の2日間、神奈川県逗子市にて、社会変革リーダーシップ開発トレーニングCHANGE 2022が開催されました。
本トレーニングは、もともとは国際NGOオックスファムがアメリカにてはじめ、2011年にオックスファム・ジャパンが日本で初開催し、Wake Up Japanは2019年より運営実施にかかわっています。
2022年のCHANGEでは、テーマを「フェアトレードと若者」とし、フェアトレードタウン運動を逗子市にて進めている逗子フェアトレードタウンとのコラボイベントとして開催し、社会を変えたいと願う中学生世代から20代半ばの方までが集まりました。
2日間のトレーニングでは、Wake Up Japanの代表理事である鈴木洋一が水先案内人として信仰を担当し、トレーニングを進めました。
1日目は、社会変革を進めるうえでの3つの要素として、Head(構造理解)、Heart(問題意識)、Hand(リーダーシップスキル)の3点に着目してプログラムが提供されました。
まず開会式では、逗子市の市民協働課の石井さんに挨拶をいただき、続いて、Wake Up Japanの鈴木洋一が安心の場づくりを行いました。その後、一人ずつ自己紹介をし、本編へと入っていきましあt。
本編としてまずHead(構造理解)について扱いました。Wake Up Japanの鈴木洋一が「社会変革」についての説明と日本で行動するうえで前提として知るべき日本の若者世代の傾向について、諸外国の若者との比較などから講義が行われ、社会の変え方と日本社会で行動をする上での陥りやすい「思考」の傾向について学びを深めました。また、逗子フェアトレードタウンの会の共同代表である長坂寿久さんによる「フェアトレードのいろは」と題する講義からでアトレードとその背景にある世界の不条理な構造に対しての理解を深めました。講義の内容を発信に生かすための2人1組でのロールプレイング(バス停で友人に会ったときにどうフェアトレードを説明するのか)を講義後に行い、得た知識を発信する方法についても挑戦をしました。
続いて、Heart(問題意識)として、毎年CHANGEで実施している個々人の社会問題に取り組むきっかけについての分かち合いを行う"Defining Moments"を行いました。このプログラムでは、参加者だけでなく、逗子フェアトレードタウンの会で活動をする多様な世代の方も話し合いに加わっていただきました。
イベント後の参加者の声としても、「異なる世代の方も同じように社会の問題に心を痛め、行動をしていることが知れて勇気づけられた」という声がありました。
さらに、Hand(リーダーシップスキル)として、1日目の最後には、架空の学校/キャンパスの中で、フェアトレード活動を進めるというボードゲームを行いました。Wake Up Japanが開発したフェアトレード戦略 シミュレーションゲーム「Make Fair From School 」を使って、2年間という機関の中でどのような活動を行うことでフェアトレード活動を戦略的に高めていくのかということをグループに分かれて挑戦をしました。グループごとに学校やキャンパスがある都市を決め、フェアトレードタウンである場合は、活動がしやすくなるなど、学外との影響の要素もゲームには加えられました。ゲームを通じて、闇雲に活動をするのではなく、1年ごとに何を目指して活動をし、そのための準備としてどのようなことが必要なのかを体験し、ゲーム後にはそれぞれゲームからの学びや実際の学校やキャンパスでの活動とゲームと後が等についてディスカッションも行いました。
1日目は理論として、フェアトレードを題材に社会の変え方やそこに向けた思い、思いを同戦略に落とし込み変化を導くのかを学びました。2日目は、フェアトレードタウンを題材に実際にどのように人々が行動をし、社会を変えていくのかを学びました。
午前には、フェアトレードタウンや実際に逗子でのフェアトレードタウン運動の歴史について、逗子フェアトレードタウンの会の磯野昌子さんや森拓也さんにお話をいただきました。また、Wake Up Japanの鈴木洋一からはフェアトレードを巡る海外の若者の運動として、オーストラリアにおけるフェアトレード大学運動からの学びについて説明がされました。オーストラリアで開催されたフェアトレードのイベントでのフィールドワークでは、お店の方や市民にフェアトレードに関する働きかけがされることなど紹介されました。
お昼休憩の後は、2つのグループに分かれて、フェアトレードタウン運動に関するフィールドワークを行いました。1つ目のグループは、逗子駅周辺のフェアトレード商品の取扱店を巡り、実際にどのような商品が置いているのかを見たり、また焦点によってはお店の方にお話をお聞きする機会をもちました。2つ目のグループは、逗子市のオリジナルフェアトレード商品である逗子コーヒーに長年関わる方にお話を聞き、その方の社会問題に関与するきっかけや現在の活動についてお話を聞き、また、逗子マリーナで行われている社会貢献活動についても視察を行いました。
フィールドワーク中に、お店の方に「〇〇のフェアトレード商品はないのですか?」と午前の海外事例の際に紹介された働きかけについて実際に行っている方もいました。こうした訪問自体が参加者の学びとなるだけでなく、市民や市全体への働きかけにも微力ながらなればと願っています。
フィールドワークを終えた後は、参加者は活動計画を行いました。
Wake Up Japanの鈴木洋一より計画づくりについての講義が行われた後、各自が取り組みたい活動についての計画づくりをしてました。その後、グループごとに発表をし、聞き手のグループメンバーは仲間の活動を応援するためにできることを考え、それを伝えるという時間も設けました。
さらに、2日間の学びを全体で振り返るワークショップを行い、「トレーニング中に印象に残ったキーワード」「今改めて私が大切にしたい価値観」「私のセルフケア方法」の3つの視点から話し合いを行いました。これらの視点は今後活動するうえでほかのメンバーの話をきくことで助けになるだろうというポイントを2日目までのディスカッションの中から見出したものを提示したものでした。参加者はグループごとにそれぞれの問いが記載された模造紙を回り、考えを記載し、同意するものには下線を引きました。全グループがすべての問いを回り、模造紙には全員の考えが反映された内容が残りました。
最後に、参加者、運営として関わっていたWake Up Japanや逗子フェアトレードタウンの会の面々で円を作り、振り返りをして2日間のトレーニングを終えました。
参加者の声として、以下のような声が届いていますので、ご紹介します。
「なぜ自分が活動を行うのか、気づかなかった自分の思いやきっかけを改めて考えることができました。」
「自分の中で立ち止まり活動を振り返る時間にもなり、参加してよかった。安心して話せたり、それぞれの想いに触れる空間は大切だし、大切にしたいと思います。」
「活動を行っていくうえで、効果的にインパクトを与えるために戦略的に行動する重要性とその方法が理解できた。戦略というと、能力主義で人を選抜するイメージがあったが、メンバーや生徒・学生それぞれが持っている力を最大限に引き出すための方法論であるという認識に変わった。同時に、なにをするか、どうやってするか、ということの前に、なぜやりたいのかという気持ちや原体験を大切にすることも印象に残った。」
「トレーニングが安全・安心な場になるように設計されており、他の活動では言うことができなかった小さな痛みについて共有することができた。」
「逗子がフェアトレードタウンであることも知らなかったが、タウン認定に至るまでの活動はとても示唆的で勉強になった。フェアトレードは、どちらかというと清貧というイメージもあり、自分にはできないと思っていたが、必ずしも自分が購入することにアクションを限る必要はなく、できることをやってみたいと感じた。」
本来、CHANGEはアメリカでは6日間のプログラムであり、日本でも4日ないし5日間で行っていたものを2日間に短縮することは運営上難しい点もありましたが、3つのH[Head, Heart, Hand]や活動の計画づくり、さらには情報や知識の収集と発信のバランス、アイスブレイキングを含めたリーダーシップの実践ということが塩梅よく加えることができましたし、何よりも地域で丁寧な活動をしている市民団体である逗子フェアトレードタウンの会と連携をすることで、世代を超えて人々をつなぎ、日本の市民社会をより強くするということをCHANGEを通じてできる可能性を見出すことができました。
Wake Up Japanとしては、引き続き、思いを同じくする団体と協力して、社会変革に向けた働きかけを続けていきます。